アレも聞きたい,コレも聞きたい! ~ジョエルさん(フィリピン出身)編~

「アレも聞きたい,コレも聞きたい!」では,呉市で暮らす外国人インタビューをお届けします。今回は,昭和東まちづくりセンター(以下,まちセン)で不定期に開催されている小さな小さな日本語教室にお邪魔し,学習の様子を見させていただきながら,学習者,そしてボランティアの先生にもアレコレお話しをうかがいました。
【インタビュー回答日:11月3日】

♪♪ 今回のゲスト ♪♪
ボン ティラオ ジョエル レヒティマス さん(31)
出身:フィリピン共和国・セブ島
在日年数:2年
母語:ビサヤ語,タガログ語
好きな日本食:ラーメン
好きな日本の有名人;志村けん

片岡 真澄さん(日本語ボランティア)

ジョ】ジョエルさん 片】片岡さん
Q1:ジョエルさんと片岡先生はかれこれどれくらい一緒に勉強していますか?
ジョ】1年半くらいです。最初は他の会社の同僚も一緒に片岡先生と勉強していましたが,今はひとりです。先生との勉強は楽しいです。先生はお母さんのような存在です!
片】ひとり(一緒に勉強する仲間がいない状況)でもよく頑張っていると思います。でも時々は人数の多い教室で勉強して,そこで友達をつくってほしいなと思っています。親心ですね☺

Q2:来日当初のご自身の日本語と,今の日本語,どれくらい上達したと思いますか?
片】 一緒に勉強し始めた当初と比べると,漢字がよく読めるようになりました。(ジョエルさんから送られてくる)LINEのメッセージの文章がわかりやすくなりました。


ジョ】(「まだまだです。」と謙遜しながら)リスニングはよくわかるようになりました。

Q3:昭和東まちセンで学習する前からこの場所は知っていましたか?
ジョ】知りませんでした。(ジョエルさんは,まちセンの存在を知って以来,会社の同僚たちと体育館を借りてバスケットボールをするなど,まちセンを活用しています。)
片】 彼は毎回(まちセンの)職員さんと話しをしています。職員さんがまちセンで開催されるイベントの案内をしてくださったりと,いつもジョエルさんに声をかけてくれます。
ジョ】(職員さんから声をかけてもらえることに対して)とてもうれしいです。

Q4:ジョエルさんは日本語能力試験3級の合格を目指していますが,ジョエルさんにとって日本語能力が向上することは何を意味しますか?
ジョ】これからもずっと日本で暮らし続けるために必要なことだと思っています。

Q5:ジョエルさんは会社でどんな仕事をしていますか?会社の人はどんな人たちですか?
ジョ】自動車部品を梱包する仕事をしています。夏は暑く,冬は寒いです。でも,社長さんや会社の人はとてもいい人たちです。会社の40周年のパーティがあったときは,僕たちフィリピンから来た実習生のために社長さんがスーツを買ってくれました。フィリピンの実習生は10人ですが,他にもタイ,中国,ロシア,パキスタン,ドミニカ共和国から来た(車の部品の)バイヤーさんたちがいて,彼らとは言葉は通じないけど,いつもジェスチャーなどでコミュニケーションをとっていて,仲良くしています。バイヤーさんは車を持っているので,僕の大好きなラーメンを食べに連れていってもらっています。カープの観戦チケットをくれたこともあります。

Q6:片岡さんは学習者の利便性に配慮し,わざわざ昭和地区まで通ってくださっていますが,地域に根差した日本語教室があることをどのようにお考えですか?
片】 各まちセンにこのような場所があればいいなと思います。呉市内には市役所,広,安浦に日本語教室がありますが,教室の存在を知らないとか,遠くて通えない外国人も多いと思います。私の住んでいる阿賀でも,外国人がグループで行動している姿を見かけますが,同じ国同士で小さく固まってしまうことで地域の中で孤立してしまわないか心配です。例えば,市から外国人が就業している会社に地域日本語教室の存在を伝えるようなしくみがあれば,会社から外国人従業員に日本語教室に通うことを促すきっかけになり,彼らが地域とつながり,孤立を防ぐことにもなるのではと思います。

Q7:ジョエルさんの夢やこれからの目標を教えてください。将来ずっと日本に住もうと考えていますか?
ジョ】(在留)期間が長いビザがほしいです。(現在は1年ごとの更新) そして,いつかは家族(妻・子ども)を呼び寄せて日本でずっと働きたいです。まだ家族の同意は得られていないので,これから話し合いますが,僕の希望は日本に住み続けることです。


地域の日本語教室は,日本語を学ぶ場であることはもちろんですが,単に言語の習得にとどまらず,日本の地域住民と外国人が知り合い,互いの魅力に気づき,同じ地域で生きていく仲間同士であることを認識する場なのかもしれません。
片岡さんが「各まちセンに日本語教室があればいいのに」とおっしゃっていましたが,「外国人と地域住民が知り合う場」としての日本語教室がそれぞれの地域に広がることで,近年外国人住民の増加に伴い増えつつある近隣住民との「摩擦」の解消にもつながるような気がします。

ジョエルさんは,日本語の学習は日本で安定して長く働き生活するうえで必要であると語っていました。でも,お話を聞いたふたりを見ていると,言語を教え,学ぶ以外の交流がある様子が見られて,とてもステキだなと感じました。
これからも細く長く学習を続けて,いつかジョエルさんの希望が叶うことを願っています。

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