アレも聞きたい,コレも聞きたい! ~イさん(ミャンマー出身)アフィフさん(マレーシア出身)編~

「アレも聞きたい,コレも聞きたい!」では,呉市で暮らす外国人インタビューをお届けします。呉市で暮らす外国人インタビューをお届けするこの企画。今回は,マレーシア,ミャンマー,カンボジア,モンゴル,計7人の留学生が在籍する呉工業高等専門学校(呉高専)にお邪魔し,3月に卒業を控えた二人に,アレコレ聞かせていただきました。(インタビュー回答日:12月7日)

♪♪ 今回のゲスト ♪♪

名前:イ ミェッ トゥさん(23)
出身:ミャンマー
母語:ミャンマー語
来日:2017年4月(呉高専在籍3年)
専攻科目:環境都市工学
好きな日本の芸能人:芸能人は分からないので・・・呉高専の重松先生

名前:ムハマド アフィフ ビン オスマンさん(24)
出身:マレーシア
母語:マレーシア語
来日:2016年4月(呉高専在籍5年)
専攻科目:プロジェクトデザイン工学
好きな日本食:お好み焼き

Q:ふたりは来年3月に高専を卒業されますが,卒業後の進路は決まっているのですか?

イさん(以降イ): 広島大学 社会基盤環境工学プログラム学部の3年生に編入します。そこで交通系の研究をしたいと思っています。

アフィフさん(以降ア):道路関係の建設会社に就職します(全国規模の会社のため,勤務地は未定)。そこで施工管理(現場監督)の仕事をします。

Q:初めて来たときの,そして今の呉の印象を教えてください。

イ:海や山の景色がとてもキレイだと思いました。ミャンマーにも海はありますが,両親が多忙で連れて行ってくれなかったので,海に行けたことはとても嬉しかったです。呉の景色の美しさに対する印象は今でも変わりません。

ア:来日時は風邪をひいていて,印象は「寒い!」でした(笑)。僕はマレーシア北部の暑い地域の出身なので,とても身にしみました。とはいえ,冬にはもう少し雪が降ってほしかったです。今では僕の「第二の実家」,とても住みやすい故郷です。

Q:呉高専の学校生活で,心に残っている事は何ですか?

イ:留学生同士の交流です。私たちは寮で共同生活を送っています。助け合い,何でも相談し合える仲間に出会えたことで,全然寂しくありませんでした。私は呉高専でもうひとつの家族をもらいました。

ア:呉高専での研究期間は3年になりますが,その間様々な国内・国際学会に参加しました。研究や学会を通しての多種多様な分野の人たちとの,そして呉高専の素晴らしい先生方との出会いは,僕にとって財産となりました。

Q:2018年には豪雨災害があり,そして今年は新型コロナウイルスの影響で学校生活も変わりました。このような出来事の中から思い出されることは何かありますか?

イ:豪雨災害のとき,災害ボランティアに参加しました。断水すると聞いて,寮で水を貯めていたのですが,その水もなくなり困っていたところを地域の日本人の方が助けてくれました。一緒に銭湯にも行きました。初めての銭湯でとても恥ずかしかったのですが,「みんな人間だから一緒だよ。恥ずかしくないよ」と声をかけてくれ,嬉しかったです。

ア:僕もボランティアセンター開設当初からボランティア活動に参加しました。その活動を通して多くの日本人と出会い,日本人の「優しさ」を感じました。その日はじめてセンターで出会った人たちが同じ目的を持ち,自分たちのできることをすることは素晴らしいなと思いました。

Q:イさんは敬虔な仏教徒,アフィフくんはイスラム教徒ですが,宗教上の理由から食生活などで苦労したことはありましたか?

イ:私は仏教の教えを守り,お酒は飲みませんが,特に困ったことはありません。しいて言えば,(呉には)ミャンマーの調味料が少ないことです。

ア:高専の近くの業務用スーパーでハラル食品を取り扱っているので,自炊する分には困ることはありません。外食するときは,そこで取り扱っている食材によっては食べることができない場合もあります。でも僕には行きつけのお蕎麦屋さんがあります。そこの店主の方はとても親切で,お蕎麦で使われている食材について,僕が食べることができるものかどうかを丁寧に説明してくれたり,食べられないメニューがあっても僕用にアレンジしてくれるので,安心して食事をすることができます。

(写真:前号でインタビューした中国の崔さんのお店のことを伝えると,ふたりとも「えー!そんなお店があるんですか?どこですか?」と興味津々の様子でした。)

Q:呉高専で学んだことや,これからの進路で得ることを,将来それぞれの国に戻ったとき,どのように活かしていきたいですか?

イ:渋滞が多いミャンマーの交通システムの向上に活かしていきたいです。ミャンマーは,道路の連携が悪く,路上駐車も日常的で,電車のシステムも良くないことから慢性的な交通渋滞が頻発しています。4月から編入する大学で交通系の研究に取組み,その研究で得た知識を活かして渋滞のない交通システムの構築に尽力したいです。

ア:現在研究している「社会インフラ系」の分野に非常に興味があります。マレーシアのインフラはすでに充実していますが,その維持管理にはまだまだ伸びしろがあります。日本のインフラ整備への対応力は素晴らしいです。災害で道路が壊れても,ものすごいスピードで復旧し,その品質管理は徹底しています。2年前の豪雨災害の断水にしても,あんなに早く復旧し,故障なく稼働しているなんてマレーシアでは考えられません。そういったインフラの技術や知識をマレーシアにも展開することが目標です。


志が高く優秀な二人,呉に来て呉を好きになってくれてありがとう!将来,ミャンマー,マレーシアの第一戦で活躍する二人に再会できる日を楽しみにしています。4月からそれぞれの進路で頑張ってください。そして時々呉にも遊びに来てくださいね!

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