アレも聞きたい,コレも聞きたい! ~パタンさん カリムさん(バングラデシュ出身)編~

「アレも聞きたい,コレも聞きたい!」では,呉市で暮らす外国人インタビューをお届けします。今回は呉市で日本の機械加工技術を学ぶ技能実習生を訪ねました。親日派の多いバングラデシュから来日したおふたりは,呉市でどのような生活をしているのでしょうか?実習先である(有)昭和機械工業を訪ね,工場長の水野さんを含めた3人にアレコレ聞かせていただきました。【インタビュー回答日:8月10日】

♪♪ 今回のゲスト ♪♪
パタン エムディ ショヘル さん(30)…(写真中央 文中略称:
カリム エムディ シャハダット さん(23)…(写真右 文中略称:
水野 貴之 さん(㈲昭和機械工業 工場長)…(写真左 文中略称:

[パタンさん,カリムさん プロフィール]
出身:バングラデシュ
母語:ベンガル語
来日:2020年1月
好きな日本の食べ物:パタンさん→天ぷら(特に魚) カリムさん→カレー

Q:呉に来て1年以上経過されていますが,日本での暮らしは慣れましたか?

来日当初はわからないことがたくさんありましたが,水野さんが助けてくれました。買い物するところや,ゴミの分別や捨て方など教えてもらいました。今は特に困ることはありません。
彼らはインターネットをうまく活用して,この辺りでは手に入らないスパイスや食材を入手しているようです。バングラデシュには,ゴミを分別する習慣がないようで,来日当初にゴミの分別の仕方や,ゴミの種類によって,捨てる日が決められていることを教えました。

Q:どうしてゴミを分別するのか知っていますか?

それは知りません。バングラデシュにもリサイクルのしくみはありますが,あまり機能していないのが現状で,色々なゴミが混在した状態で捨てられています。

Q:広の日本語教室で日本語を学ばれていますが,日本に来たばかりの頃と比べて,日本語は上達しましたか?どんなことが上達しましたか?

私は広の日本語教室によく行っています。昨年日本語能力試験4級に合格し,7月に3級を受験しました。漢字は簡単なものは書けます。読むこともできます。
私は,あまり教室には行ってないです(社交的なパタンさんと対照的にカリムさんは少し内向的なようで,自由な時間を一人で過ごすのが好きなようです。それぞれ個性があります)。
ふたりとも,来日当初から非常に向上心があり,仕事に関する日本語に関しては全く問題ありません。機械加工に関する日本語であれば,誰かに教えることができるくらい,上達しています。

Q:日本語教室には,色々な国の人がいます。他の国の人と親しくなりましたか?

中国,ベトナム,フィリピン,ネパール,インドネシアの人たちと親しくしています。

Q:おふたりはムスリムですが,食べ物に関して不自由なことはありますか?外食は?

地域のお店では,主にお米と野菜を買います。ハラル認証の肉(鶏,牛)は,インターネットで購入するので,特に不自由はないです。外食は水野さんや社長に,フライドチキンやお寿司のお店に連れていってもらったことがあります。
フライドチキンは本国にもあるようで,馴染みの味のようです。また,お寿司に関してはメニューを見ながら食べられる物,食べられない物を確認しながら食べていました。

Q:昨年水野さんとお話しした際,コミュニケーションを図る目的で,おふたりと日本語で交換日記をしているとお聞きしましたが,まだ続いていますか?どんなことを書いていますか?

パタンさんが7月の日本語能力試験の勉強に集中する,といった理由などから,3ケ月前くらいから一旦中断していますが,日記を交換していた当時は,「今日食べたもの」「今日何していた」「気温(暑かった,寒かった)」「仕事の問題」「本国の家族に会いたい」な
ど色々なことを書いてくれていました。できるだけ私から何か質問し,それに彼らが,時にはイラストなども用いて答える形で日記を続けました。

交換日記の実物。おふたりとも,日本語の文字がネイティブ並みに美しいことに驚きです。

Q:日本で習得した技術を,本国でどのように活かしていきたいですか?

バングラデシュでは,ここで習得した技術を活かす場があまりありません。できればずっと日本で暮らしたいですし,この仕事を続けたいです。
現在ふたりの在留資格は技能実習2号です。今後は特定技能に切り替え,後輩の指導など人材育成にも携わってもらいたいです。彼らは,バングラデシュからの技能実習生の中でも選りすぐりのエリートです。もちろん本国の家族を経済的に支える目的もありますが,日本の発展や技術に関心を持ち,それらを学びたいという目的から来日しており,日本に特別な思いを持ってくれています。できればずっと呉で働いてもらいたいですし,いずれは地域の担い手として活躍する存在になれば,素晴らしいことだと思います。

Q:おふたりの呉のお気に入りの場所や,行った場所を教えてください。

グリーンピアせとうちです。日本語教室で親しくなった中国の男性と,一緒に山登りをしました。バングラデシュには山がないので楽しかったですし,山から眺める海の景色も素晴らしかったです。他には,会社の人と竹原の町並み保存地区にも行きました。
私は旅行が大好きなので,もっと色々なところに行きたいです。

Q:呉市民にメッセージをお願いします。

バングラデシュの人たちは,学校で日本について勉強します。広島や長崎のことは誰でも知っています。日本人,呉市のみなさんにもバングラデシュについて,もっと知ってもらいたいです。コロナが終わったら,ぜひバングラデシュを訪れてください。

質問に答えながら,ふたりはスマートフォンでバングラデシュのトロピカルフルーツの数々を写真を交え教えてくれました。工場長の水野さんも加わり3人で画面を見ながら笑い合う姿から,会社の雰囲気がとても良いことを感じました。
交換日記などの取り組みに対して,ひたすら感心するばかりの筆者に対し,水野さんは「自分が外国人として外国で暮らしていたなら,同じようなサポートが必要」「技能実習生を安価な労働力として捉えるのではなく,人間として,共に働く仲間として迎え入れることは当然のこと」とおっしゃっていました。


技能実習制度をめぐっては,悪いニュースを見ることもありますが,おふたりのように実習生から「この会社でずっと働きたい」と思われる素晴らしい実習先があることや,その取り組みについても報道してもらえたらと感じました。パタンさん,カリムさん,水野さん,ありがとうございました!

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